⚡ 実は、沖縄で米軍車両の前に立ちふさがって逮捕された3人のうち1人は、氏名すら名乗らず「完黙」を貫いています。
2025年10月31日、沖縄県東村の県道で衝撃的な逮捕劇が起きました。米軍車両の通行を妨害したとして3人が現行犯逮捕されたのです。
注目されているのは、そのうち1人が完全に黙秘を続け、氏名すら明かさないという異例の対応をしていること。
「完黙」とも呼ばれるこの戦略的な黙秘は、いったい何を意味するのでしょうか?
事件の詳細から法的な問題点、そして沖縄が抱える基地問題の背景まで、詳しく解説します。

📋 この記事でわかること
🚨 沖縄で米軍車両妨害、3人逮捕〜2025年10月31日に何が起きた?
産経新聞の報道によると、2025年10月31日午前10時50分頃、沖縄県東村宮城の県道で、米軍車両の前に立ちふさがり通行を妨害したとして、3人が道路交通法違反(道路における禁止行為)の疑いで現行犯逮捕されました。
逮捕されたのは、本部町豊原の日高香代容疑者(67)、名護市辺野古の直井由美子容疑者(57)、そして住所・職業・氏名不詳の男性です。
📍 事件発生場所
事件が起きた県道は、米軍北部訓練場に通じる道路です。
約1時間にわたって、米軍のトラック4台と車両2台の計6台の前に立ちふさがり、通行を妨害したとされています。
米軍関係者からの通報で駆けつけた警察官が「移動してください」と呼びかけましたが、3人は従わなかったとのこと。
沖縄タイムスの報道によると、関係者によれば3人は米軍北部訓練場付近で抗議活動中だったとされています。
💡 実は
実は逮捕された3人のうち1人は、警察の取り調べに対して名前すら明かさず、完全な沈黙を続けています。
この「完黙」という戦略的な黙秘は、どういう意味を持つのでしょうか?
次のセクションで詳しく見ていきましょう。
🤐 「完黙」とは?〜氏名不詳の男性が選んだ黙秘権
先ほど触れた「完黙」とは、完全黙秘の略で、警察の取り調べに対して一切何も話さない状態を指します。
⚖️ 憲法で保障された権利
実は、これは憲法で保障された正当な権利なんです。
日本国憲法38条1項には「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」と明記されています。
これを「黙秘権」といい、取り調べで言いたくないことは言わなくてもいいという権利です。
弁護士法人アトムの解説によると、黙秘権には完全黙秘と一部黙秘があります。
完全黙秘は文字通り、すべての質問に対して一切答えない状態。一部黙秘は、一部の質問には答えるが、重要な点については黙秘する状態です。
💪 完全黙秘のメリットとデメリット
完全黙秘の最大のメリットは、自分に不利な供述調書を作らせないこと。
警察の取り調べで供述すると、その内容が調書として記録され、後の裁判で証拠として使われる可能性があります。記憶が曖昧なまま話してしまうと、客観的な証拠と矛盾する供述をしてしまい、裁判で不利になることも。
完全黙秘をすれば、そうした不利な証拠を作らせずに済むのです。
⚠️ デメリットもあります
一方でデメリットもあります。取り調べが長引く可能性があること、反省していないと見られて身柄拘束が長期化する可能性があること、そして有罪になった場合に量刑が重くなる可能性があることです。
📝 実は名前を言わなくても裁判は可能
「氏名不詳」でも逮捕できるの?という疑問が湧きますよね。
✅ 法的に可能です
はるか法律事務所の解説によると、実は名前を言わなくても、人相・体格・写真などで本人を特定すれば起訴して裁判を進めることができます。
刑事訴訟法64条2項には「被告人の氏名が明らかでないときは、人相、体格その他被告人を特定するに足りる事項で被告人を指示することができる」と定められています。
検察官は、起訴状の氏名欄に「氏名不詳」と記載して、被告人の人相・体格などを具体的に記し、写真を添付するのが通常のようです。
今回の氏名不詳の男性は、こうした法的知識を持った上で、戦略的に黙秘権を行使している可能性があります。
では、そもそもなぜ3人は逮捕されたのでしょうか?次は、道路交通法違反の具体的な内容を見ていきましょう。
⚖️ 道路交通法違反の禁止行為〜約1時間の立ちふさがりで逮捕
今回3人が逮捕された容疑は「道路交通法違反(道路における禁止行為)」です。
具体的には、道路交通法76条4項2号の違反。
📜 道路交通法76条4項2号
マイ法務の解説によると、この条文には「道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまつていること」と定められています。
💡 実は
実は道路で交通を妨げるように立ち止まるだけで、5万円以下の罰金という刑事罰の対象になるんです。
🚶 歩行者にも適用される禁止行為
この規定は、車の運転手だけでなく歩行者にも適用されます。
道路交通法76条4項には「何人も」という表記があり、これは「すべての人」を意味します。
ダーウィン法律事務所の解説によると、信号を守る義務や通行禁止の規定と同様、歩行者であっても道路上で交通を妨害する行為は禁止されているのです。
今回のケースでは、3人が約1時間にわたって米軍車両6台の前に立ちふさがり、警察官の「移動してください」との呼びかけにも従わなかったことが、この禁止行為に該当すると判断されました。
💰 罰則は5万円以下の罰金
道路交通法120条によると、この違反の罰則は5万円以下の罰金です。刑事事件としては比較的軽微な部類に入ります。
ただし、罰金刑でも前科がつくことになるため、軽視できません。
❓ なぜ妨害したのか
しかし、なぜ3人は米軍車両の前に立ちふさがったのでしょうか?この行動の背景には、沖縄が70年以上抱え続けている基地問題の歴史があります。
🏝️ なぜ米軍車両を妨害?〜沖縄基地問題の長い歴史
今回の事件は、表面的には道路交通法違反という単純な事件に見えますが、その背景には深い歴史があります。
🗺️ 沖縄に集中する米軍基地
📊 驚きの数字
沖縄県には、日本全体の約70%の米軍基地が集中しています。沖縄の面積は日本全体のわずか0.6%しかないにもかかわらず、です。
第二次世界大戦後、1972年の日本復帰までアメリカの統治下にあった沖縄。復帰後も、地理的な要因から広大な土地が米軍基地として使用され続けています。
😢 1995年の米兵少女暴行事件という転換点
沖縄の基地問題が大きくクローズアップされる契機となったのが、1995年の米兵少女暴行事件です。
Wikipediaの記事によると、1995年9月4日、キャンプ・ハンセンに勤務する米軍兵士3名が、当時12歳の女子小学生を拉致・暴行した事件が発生しました。
⚠️ 実は
実は当初、日米地位協定により米軍が身柄引き渡しを拒否したことが大きな問題となりました。
外務省の説明によると、日米地位協定では「日本側が起訴するまで米軍側が身柄を拘束することを認めている」という規定があり、起訴前の身柄引き渡しは拒否できる仕組みになっていたのです。
この決定に対し、沖縄県民の間に燻っていた反基地感情が一気に爆発。同年10月21日に宜野湾市で開かれた県民総決起大会には、約8万5千人(主催者発表)もの県民が参加しました。
これは本土復帰後、最大規模の抗議大会となりました。
🔄 継続する基地問題と抗議活動
1995年の事件から30年が経った今も、沖縄の基地問題は解決していません。
米軍による事件や事故は後を絶たず、普天間飛行場の辺野古移設を巡る問題も続いています。今回事件が起きた県道が通じる米軍北部訓練場も、こうした基地問題の焦点の一つです。
抗議活動を行う人々の背景には、70年以上続く基地負担への不満や、繰り返される米軍関係者による事件への怒りがあります。
ただし、抗議活動の方法が法律に違反すれば、今回のように逮捕される可能性があるのも事実です。
では、逮捕された3人は今後どうなるのでしょうか?
🔮 今後の展開〜起訴されるとどうなる?
最後に、今回逮捕された3人の今後について見ていきましょう。
⚖️ 典型的な処分は罰金刑
道路交通法違反の罰則は、先ほど説明したとおり5万円以下の罰金です。
📌 過去の事例から
過去の沖縄での基地関連の抗議活動による逮捕事例を見ると、多くが罰金刑で終わっています。執行猶予付きの判決も含めて、実刑判決は少数です。
今回のケースも、検察が起訴すれば、罰金刑が言い渡される可能性が高いと考えられます。
📋 刑事手続きの流れ
現在、3人は逮捕された状態です。逮捕から48時間以内に、検察官に送致されるか釈放されるかが決まります。
検察官に送致された場合、さらに24時間以内に勾留請求されるか釈放されるかが決まります。勾留が認められると、最初の10日間身柄が拘束され、さらに10日間延長される可能性もあります。
逮捕期間を含めると、最長で23日間の身柄拘束となります。その後、検察官が起訴か不起訴かを判断します。
🤐 氏名不詳の男性の場合
完全黙秘を続けている氏名不詳の男性については、特殊な手続きになります。
氏名が明らかにならない場合でも、先ほど説明したとおり、人相・体格・写真などで本人を特定して起訴することが可能です。
⚠️ 注意点
ただし、黙秘を続けることで、取り調べが長引く可能性があります。また、有罪になった場合、素直に供述していた他の2人と比べて、反省の度合いが低いと判断され、相対的に重い刑が言い渡される可能性もゼロではありません。
それでも、不利な供述調書を作らせないという戦略的な判断で、黙秘権を行使し続けているのかもしれません。
🌏 基地問題の今後
今回の事件は、沖縄の基地問題が決して過去のものではなく、今この瞬間も続いている現実を私たちに突きつけています。
抗議活動の是非、その方法の適法性、そして根本的な基地問題の解決。これらは簡単には答えの出ない、複雑な問題です。
今後の刑事手続きの展開とともに、この問題の根本的な解決に向けた議論が深まることが期待されます。
📝 この記事のポイント
- 2025年10月31日、沖縄県東村で米軍車両妨害により3人が道路交通法違反で逮捕された
- そのうち1人は氏名すら明かさず「完黙」を貫いており、これは憲法で保障された黙秘権の行使
- 道路交通法76条4項2号違反で、道路で交通を妨げるように立ち止まる行為は5万円以下の罰金の対象
- 背景には1995年の米兵少女暴行事件以来続く沖縄の基地問題がある
- 今後は罰金刑が言い渡される可能性が高いが、完黙を続ける男性については特殊な手続きとなる
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沖縄の基地問題について、あなたはどう考えますか?
❓ よくある質問(FAQ)
Q: 沖縄で米軍車両妨害事件が起きたのはいつですか?
A: 2025年10月31日午前10時50分頃、沖縄県東村宮城の県道で発生しました。3人が米軍車両計6台の前に立ちふさがり、約1時間にわたり通行を妨害したとして道路交通法違反で現行犯逮捕されました。
Q: 完黙とは何ですか?
A: 完黙とは完全黙秘の略で、警察の取り調べに対して一切何も話さない状態を指します。憲法38条1項で保障された黙秘権に基づく正当な権利行使です。氏名を明かさなくても、人相・体格・写真などで本人を特定すれば起訴・裁判が可能です。
Q: 道路交通法違反の罰則は何ですか?
A: 道路交通法76条4項2号違反の罰則は5万円以下の罰金です。道路で交通を妨げるように立ち止まる行為は、歩行者にも適用される禁止行為で、刑事事件としては比較的軽微ですが前科がつきます。
Q: なぜ沖縄で米軍車両への抗議活動が起きるのですか?
A: 沖縄には日本全体の約70%の米軍基地が集中しており、1995年の米兵少女暴行事件以降、基地問題への抗議活動が続いています。当時8万5千人が参加した県民大会は本土復帰後最大規模となり、70年以上続く基地負担への不満が背景にあります。