2025年11月3日、秋の叙勲の受章者が発表され、小泉政権で総務相などを歴任した竹中平蔵さん(74歳)が旭日大綬章を受章しました。
本人は記者団に対して「私は不良債権の処理とか、公共事業の削減、一部の人に批判を受けるような仕事もやってきましたから。そういう人間が叙勲の対象になるとはちょっと思ってなかったんですね」と語り、受章を予想していなかったことを明かしています。
なぜ賛否両論のある竹中氏が国の勲章を受章できたのか、その理由と背景を詳しく見ていきましょう。
💡 この記事のポイント
本人も驚いた受章の理由と、天皇陛下が直接手渡す格式高い勲章の意味をわかりやすく解説します。

📋 この記事でわかること
🎖️ 竹中平蔵さんが旭日大綬章を受章
2025年11月3日付で発表された秋の叙勲で、竹中平蔵さん(74歳)が旭日大綬章を受章しました。
竹中さんは2001年から2006年の小泉政権で、経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、郵政民営化担当大臣、総務大臣などを歴任した人物です。
不良債権処理や郵政民営化など、「構造改革」と呼ばれる大胆な政策を次々と実行しました。受章について竹中さんは「素直にありがたいと思っています」とコメントしています。
⚠️ 実は
本人も「そういう人間が叙勲の対象になるとは思ってなかった」と驚いています。
ただし、その政策については当時から賛否両論があり、今でも議論が続いています。そんな竹中さんが受章した「旭日大綬章」とは、いったいどれくらいすごい勲章なのでしょうか?
👑 旭日大綬章とは?どれくらいすごい勲章なの?
旭日大綬章は、日本の勲章の中でも非常に格式が高いものです。具体的には「旭日章」という勲章グループの最高位に位置づけられています。
実は、明治8年(1875年)に制定された日本で最初の勲章なんです。
🎯 どんな人が受章できるの?
内閣府の公式発表によると、旭日大綬章の対象者は以下のように定められています。
「内閣総理大臣、衆議院議長、参議院議長又は最高裁判所長官の職にあって顕著な功績を挙げた者」
さらに「国務大臣、内閣官房副長官、副大臣、衆議院副議長、参議院副議長又は最高裁判所判事の職にあって顕著な功績を挙げた者」も対象とされています。つまり、国のトップクラスの役職で大きな成果を残した人だけが受章できる勲章なんですね。
✨ 天皇陛下が直接手渡す「親授式」
旭日大綬章の授与式は、皇居正殿松の間で行われます。そして驚くことに、天皇陛下が直接勲章を手渡す「親授式」という儀式が行われるんです。
これは日本の勲章制度の中でも最高クラスの格式を意味しています。
🏯 格式の高さ
天皇陛下が直接手渡す超格式高い勲章で、皇居正殿松の間という特別な場所で授与式が行われます。
では、竹中さんは具体的に何をした人なのでしょうか?
💼 竹中平蔵さんは何をした人?主な功績
竹中平蔵さんが小泉政権で行った主な政策を、10代でもわかるように説明していきます。
🏦 不良債権処理(竹中プラン)
2000年代初頭、日本の銀行は大きな問題を抱えていました。それは「不良債権」と呼ばれる、返ってこない可能性が高い貸し出しです。
簡単に言えば、銀行が企業にお金を貸したけど、その企業が倒産しそうで返済できない状態が大量に発生していたんです。
竹中さんは金融担当大臣として、この問題に正面から取り組みました。RIETIの分析によると、当初7年はかかると言われていた不良債権の正常化を、約4年で達成したとされています。
具体的には、銀行の資産を厳しくチェックする仕組み(DCF法)を導入し、問題のある銀行には公的資金を注入しました。りそな銀行や足利銀行がこの対象となり、経営陣の中には後に刑事告発された人もいました。
📮 郵政民営化
もう一つの大きな政策が「郵政民営化」です。当時、郵便局は国が運営していて、郵便貯金と簡易保険で約350兆円という巨額のお金を持っていました。
竹中さんは郵政民営化担当大臣として、これを民間企業に変える改革を推進しました。
📊 巨額の資金
郵便貯金と簡易保険で約350兆円という、想像もできないほどの巨額のお金を民間に移しました。
この政策は党内でも強い反発があり、2005年には「郵政解散」という歴史的な出来事につながりました。
🔄 構造改革の推進
経済財政諮問会議という重要な会議で、竹中さんは「官から民へ」「中央から地方へ」というスローガンのもと、様々な改革を推進しました。規制緩和、民営化、市場原理の導入など、日本経済の仕組みを大きく変える政策を次々と実行したんです。
これらの功績が評価されて、今回の受章につながったわけですが、なぜ批判もある中で受章できたのでしょうか?
❓ なぜ竹中平蔵さんが受章したの?選ばれた理由
叙勲は「政策への賛否」ではなく、「国や公共に対する功労」で評価されます。竹中さんの場合、以下の点が功績として評価されたと考えられます。
💰 金融危機の克服
2000年代初頭、日本は深刻な金融危機に直面していました。銀行システムが機能不全に陥り、経済全体が停滞していた時期です。
竹中さんの不良債権処理によって、銀行の健全性が回復し、経済の見通しが明るくなりました。
RIETIの分析では「銀行システムの正常化が経済の大きな不確実性を払拭し、企業活動の回復を支える力になった」と評価されています。
📈 デフレ脱却の基盤づくり
当時、日本は長期的なデフレ(物価の下落)に苦しんでいました。構造改革によって、デフレ脱却への道筋が作られたという評価があります。
実際、景気回復が続いたことで、2006年頃にはデフレ脱却が視野に入る段階まで来ました。
⏰ 約20年が経過した評価
竹中さんの政策から約20年が経過し、その功績と課題が客観的に評価できる時期になりました。当時は賛否両論が激しかった政策も、長期的な視点で見ると日本経済に一定の影響を与えたことは事実です。
叙勲は、そうした長期的な視点での功労を評価するものなんですね。
⚖️ 評価のポイント
政策の賛否ではなく、国への功労で評価される。約20年の時間を経て、客観的な評価ができる時期になった。
では、批判されてきた内容とは何なのでしょうか?本人はどう思っているのでしょうか?
💬 批判も受けてきた竹中平蔵さん 本人のコメントは?
竹中さんの政策については、功績がある一方で批判も多く存在します。
⚠️ 主な批判の内容
最も大きな批判は「非正規雇用の拡大」と「格差社会」に関するものです。小泉政権時代に労働者派遣法が緩和され、企業は正社員ではなく派遣社員を多く雇うようになりました。
複数の分析によると、これによって安定した働き方が減り、所得の格差が拡大したのではないかという見方があります。
また、竹中さんは大臣退任後に人材派遣会社大手のパソナグループの重役に就任しており、この点も批判の対象となっています。日本は過去20年間で先進国の中でほぼ唯一、賃金が下がった国になっています。
その要因の一つとして竹中さんの経済政策が挙げられることもあります。
🗣️ 本人のコメント
受章について竹中さんは、記者団に対してこう語りました。
「私は不良債権の処理とか、公共事業の削減、一部の人に批判を受けるような仕事もやってきましたから。そういう人間が叙勲の対象になるとはちょっと思ってなかったんですね。こういう機会を与えていただいたことは素直にありがたいと思っています」
批判があることを自ら認めながら、受章を「素直にありがたい」と受け止めている様子がわかります。
竹中さんの年金政策に関する提案については、こちらの記事で詳しく解説しています。
🤔 賛否が分かれる評価
竹中さんに対する評価は、今も真っ二つに分かれています。「日本経済を立て直した改革者」という見方と、「格差社会を生んだ象徴」という見方が並存しているのが現状です。
どちらにせよ、竹中平蔵という人物が日本の経済に大きな影響を与えたことは間違いありません。
ところで、今回の秋の叙勲では竹中さん以外にも注目の受章者がいます。
👥 他に誰が受章した?2025年秋の叙勲受章者
政府は2025年11月3日付で秋の叙勲受章者3963人を発表しました。うち女性は427人で、全体の10.8%でした。
🌸 桐花大綬章
桐花大綬章は、旭日大綬章よりもさらに上位の勲章です。今回は以下の2人が受章しました。
- 尾辻秀久元参議院議長(85歳)
- 戸倉三郎元最高裁長官(71歳)
🎖️ 旭日大綬章
竹中さんと同じ旭日大綬章を受章したのは以下の方々です。
- 山本拓氏(高市早苗首相の夫、元衆議院議員、73歳)
- 蒲島郁夫前熊本県知事(78歳)
- 前田晃伸元みずほフィナンシャルグループ社長(80歳)
🎮 旭日小綬章 ゲーム作家として初の快挙
今回の叙勲で特に注目されたのが、「ドラゴンクエスト」シリーズで知られるゲームデザイナーの堀井雄二さん(71歳)です。ゲーム作家としては史上初の叙勲となりました。
🎯 史上初の快挙
堀井雄二さんがゲームデザイナーとして史上初の叙勲を受け、40年前は「犯罪の原因」とまで言われたゲームが国から文化として認められました。
堀井さんは受章について「これは僕一人の力ではなくて、作ってきた助けてくれたスタッフのみんん、ずっと応援してくれたユーザーのみなさんのおかげ」とコメントしています。
同じく旭日小綬章を受章したのは、「マジンガーZ」「キューティーハニー」などの人気作を手がけた漫画家の永井豪さん(80歳)です。
40年ほど前は「犯罪の原因」とまで言われたゲームが、今では国から文化として認められるようになったことに、堀井さんは「感無量です」と語っています。
📝 まとめ
2025年秋の叙勲で竹中平蔵さんが旭日大綬章を受章したポイントをまとめます。
- 竹中平蔵さん(74歳)が旭日大綬章を受章。本人は「批判を受けるような仕事もやってきた」ため、受章を予想していなかったとコメント
- 旭日大綬章は旭日章の最高位で、天皇陛下が直接手渡す「親授式」が行われる格式高い勲章
- 功績として、小泉政権での不良債権処理(7年→4年で完了)、郵政民営化(350兆円を民間へ)、構造改革の推進が評価された
- 一方で、非正規雇用の拡大や格差社会への影響について批判も多く、評価は今も賛否両論
- 同時に「ドラクエ」の堀井雄二さんがゲーム作家として史上初の叙勲を受けるなど、2025年秋の叙勲は3963人が受章
竹中さんの政策から約20年が経過し、その功績と課題が客観的に評価できる時期になりました。今回の受章について、あなたはどう思いますか?
❓ よくある質問
Q1: 竹中平蔵さんはなぜ旭日大綬章を受章したのですか?
小泉政権での不良債権処理や郵政民営化など、国や公共に対する功労が評価されたためです。政策への賛否ではなく、日本経済に与えた影響の大きさが評価されました。
Q2: 旭日大綬章はどれくらいすごい勲章ですか?
旭日章の最高位で、天皇陛下が直接手渡す「親授式」が行われる格式高い勲章です。内閣総理大臣や衆参議長クラスの功績者に授与されます。
Q3: 竹中平蔵さんの主な功績は何ですか?
不良債権処理を7年→4年で完了、350兆円の郵政民営化、構造改革の推進などが主な功績です。金融危機の克服とデフレ脱却の基盤づくりに貢献しました。
Q4: なぜ竹中平蔵さんは批判されているのですか?
非正規雇用の拡大と格差社会への影響が主な批判内容です。労働者派遣法の緩和により、安定した働き方が減り所得格差が拡大したという見方があります。
Q5: 2025年秋の叙勲で他に注目の受章者はいますか?
「ドラゴンクエスト」の堀井雄二さんがゲーム作家として史上初の叙勲を受けました。また、高市首相の夫・山本拓氏も旭日大綬章を受章しています。
Q6: 竹中平蔵さん本人は受章をどう思っていますか?
「批判を受けるような仕事もやってきたから、叙勲の対象になるとは思っていなかった」と率直に語り、「素直にありがたい」と受け止めています。